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京都市への移住相談
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カーテンを開けると、鴨川と京都タワーが見える。歩いて職場に向かい、仕事終わりには近所の居酒屋で一杯。休みの日には、気になるお店を開拓する。そんな、まちに溶け込む暮らしができたらと、考えたことはありませんか。
「便利で豊かで、飽きがこない。移住してから毎日が充実しています」
そう語るのは、東山区にある職場に転職したことをきっかけに、大阪から清水五条エリアに移り住んだ、原さんです。
観光地として知られる東山区ですが、原さんはこのまちで、仕事と暮らしが自然につながる日常を送っています。
本インタビューでは、約10カ月に及んだ部屋探しのエピソードや、移住前・移住後の気持ちの変化、実際に住んで感じた東山の魅力について、原さんお気に入りの「Cafeふふふあん」にてお話を伺いました。

東山区にある職場に転職したことがきっかけです。当時は、大阪府北部に住んでいて、勤務が始まってからも、しばらくは電車通勤をしていたんです。ただ、片道1時間半ほどかかるので、体力的にも精神的にもだんだん疲れてしまって……。
近くに住めば、仕事も暮らしももっと充実させられるかもしれない。そう思って、2024年10月に京都に移住しました。

清水五条駅すぐ、京都の老舗「半兵衛麩」が手がける「Cafeふふふあん」。鴨川を眺めながら、湯葉や麩を主役にしたヘルシーなランチやデザートが楽しめる
観光地の華やかなイメージを持ちつつも、どこか親しみを感じていました。
神奈川県の出身なのですが、中学・高校時代は鎌倉の学校に通っていたんです。観光地でありながら落ち着いた雰囲気をまとう鎌倉は、どことなく京都に似ていて、親近感を持っていたのかもしれません。
大学時代には、一人旅で京都を訪れました。その時、滞在先で親しくなった海外のバックパッカーたちと、一緒にまちを散策したのですが、それがすごく楽しくて!その頃から、心のどこかに「いつか京都に住めたら」という気持ちが芽生えていたように思います。

2つのエリアを中心に探していました。
一つは左京区。大好きな本屋「恵文社一乗寺店」があり、「近くに住めたらいいな」と、以前から憧れていたエリアです。もう一つが東山区。職場の近くに住めたら便利だと思いましたし、大好きな映画『マザーウォーター』(※)に映る京都のまちの雰囲気と日常の風景が、自分の中にあった理想の暮らしのイメージにぴったり重なったんです。
(※)映画『マザーウォーター』は、2010年公開の映画。京都で暮らす、男女7人の日々を描いた作品

比較検討するために5~6件の不動産屋さんに問い合わせをし、たくさん内覧をして周ったのですが、「これだ!」と思える物件にはなかなか出会えず……。
そんななかで、以前読んだ『京都移住計画』(※)という本を思い出しました。物件紹介もしていることを知り、すぐに問い合わせたところ、担当してくださった方が以前勤めていた会社の先輩だったんです。その方が提案してくださったのが、今住んでいる物件です。
(※)『京都移住計画』(田村篤史著,コトコト)は、2014年発売の書籍。「京都に住みたい」という思いを実現した、移住者10人を紹介している
鴨川に近いエリアの物件に決めたのですが、部屋のドアを開けて足を踏み入れると、窓から鴨川と京都タワーが見えたんです。その瞬間に、「ここだ!」と思いました。不動産担当の方は、「まぁまぁ、他の物件も見て比較してみましょう」と言ってくださったのですが、わたしの中では、直感で即決していました。

「おはよう、鴨川!」と言えるような風景が広がっていたことが決め手だったと原さん
もうひとつの決め手は、やはり利便性です。職場まで徒歩15分という近さに加え、最寄りの清水五条駅からは、出町柳方面や大阪方面へもアクセスできます。市バスを使えば、京都駅まで約15分、四条河原町へも約10分と、移動に困ることはないだろうと思いました。
部屋の広さは10畳で、家賃は7万円台。大阪時代よりも好条件で、その点も決断を後押ししました。
長細い間取りが少し気になりましたが、それを職場の同僚に話したところ、「京町家の“うなぎの寝床”みたいだね」と言われて。「たしかに!」と思えてからは、形も含めてすっかり気に入っています。
私が望む条件をすべてクリアした理想のお家に住みたかったので、実に10カ月もかかってしまいました。でも、せっかく移住するからには、どうしても妥協したくなかった。わたしはこの期間を、「京都の長い散歩」と呼んでいます。なかなか決まらず大変でもありましたが、諦めずこだわって良かったです。

東山区といえば、清水寺や高台寺、鴨川や石畳の路地など、京都らしい風景がぎゅっと詰まった「観光地」というイメージが強いかもしれません。けれど、ひとくちに東山区といっても、さまざまな表情があります。
実際に暮らしてみて、交通の利便性や、普段使いできるお店の多さ、自然の身近さなど、「住む場所」としての魅力を、日々実感しています。

大通りから一本外れると、静かな住宅街が広がる。昔から続くお店もちらほら
仕事柄、プライベートで訪れてお気に入りになったお店や社寺を、お客様にご紹介することも少なくありません。中でも智積院の紫陽花が大好きで、わたし自身もよく行きますし、穴場スポットとしてご紹介することも多いです。そんなふうに、プライベートと仕事が自然に繋がるわたしらしい暮らしも、東山区に移住してこそ叶えられたことだと思います。
交通の便がとにかく良いです。京都駅からのアクセスが良いので、地元への往来も楽ですし、遠方の友人もたくさん遊びに来てくれるようになりました。寂しさを感じることはありませんね。

清水五条からは、京阪電車や市バスを使えば、市内中心部や京都駅へも好アクセス。京都駅からは高速バスや新幹線で各地へアクセスできる。車なら国道を使って滋賀方面への移動もスムーズ
京都市内の移動は、バスとLUUP(電動キックボードや電動自転車のシェアリングサービス)を使うことが多いです。徒歩やLUUPで出かけて、出先で買い物をして荷物が増えたら、帰りはバスに乗る。車や自転車を持っていなくても、必要に応じて移動手段を使いこなせば、とてもスムーズです。
清水五条周辺には、チェーンスーパーのフレスコもあれば、八百屋さんや魚屋さんなど、個人商店も点在しています。京都駅近くにある「ロピア京都ヨドバシ店」も、徒歩とバスで10分ほどで近いので、よく行きます。それぞれ良さがあるので、その日の気分で使い分けています。病院も徒歩圏内に揃っているので、特に困ったことはありません。

清水五条駅を降りてすぐ目に入る風景。明治創業の鮮魚店「近幸」など、老舗商店がドラッグストアやコンビニと共に軒を連ねている
警察署や消防署が近いので、サイレンの音にドキッとすることがあるくらいでしょうか。あとは、五条坂のあたりはバイクや車通りが多く、時間帯によっては賑やかに感じることもあります。個人的にはそこまで気になりませんが、「京都=静かな暮らし」というイメージを持っていると、少し意外に感じるかもしれません。気になる方は、大通りから外れた住宅街に物件を決めるといいと思います。

はい。メディアなどでは「京都の人は難しい」と言われることもありますが、わたし自身は、これまで排他的な空気を感じたことはありません。
皆さん京都が好きで、まちに誇りを持っている方が多い印象です。「京都が好きで移住してきました」と伝えると、むしろ喜んで、いろいろなことを教えてくださいます。
仕事終わりに「自炊するのが面倒だな」と思ったとき、「京は菜(きょうはな)」という居酒屋さんについつい足が向くのですが、「第二の我が家」と呼びたくなるほど居心地が良いんです。店主の方とも自然と距離が近くなって、気づけば何でも話してしまう存在になりました。
友人が京都に訪ねてきたときには、「OndoriO」さんを案内することもあります。フレンチとイタリアンをベースにした個性的でおしゃれなお料理と、ペアリングしてくださるカクテルを楽しめるお店です。
そんなふうに、「あのお店に行きたい!」と思える場所が増えていくたびに、このまちに移住して良かったなと実感します。

原さんのおすすめ、住宅街にひっそりと佇む町家レストラン「OndoriO」
外に出かけていることが多いです。先日、鴨川のゴミ拾いをしようと思って、ゴミ袋とトングを持って河川敷を歩いてみたんです。でも、思っていたよりもゴミは落ちていませんでした。
後日、鴨川沿いを歩いていたら黙々と掃除をされている男性の姿を見かけて、この美しい河川敷が地域の方によって守られているのだと知り、ますますこのまちが好きになりました。

ほかにも、雑誌で見て気になったお店にふらっと行ってみたり、京丹後まで足を伸ばして蟹を食べたり。京都駅から新幹線に乗って、岡山や福岡に行くこともあります。京都に移住してから、以前にも増して行動範囲が広がったように感じています。
京都らしさも、日々の暮らしやすさも、どちらも大切にしたい方に合うまちだと思います。
京都らしい雰囲気を重視すると、日常の買い物が少し不便だったり、駅まで距離があったりすることもあると思います。東山区は、鴨川や清水寺といった京都らしい風景に囲まれながらも、交通の便がよく、日常の動線がとてもスムーズです。
今の暮らしにとても満足しているので、東山らしさを日々の中で感じながら、仕事も暮らしも充実させて、穏やかに暮らしていきたいです。

転職や移住は、決して簡単な選択ではありません。けれど、その決断によって、働き方だけでなく、日々の過ごし方や心の在り様までが変わっていくことがあります。陽だまりのような笑顔で「いまの暮らしが心から好き」と語る原さんの姿は、そんな決断の先にある希望の光を、そっと示してくれるようでした。