「憧れの京都移住を果たしたい」。ただ、その際にネックになるのが仕事ですよね。会社員の方もフリーランスの方も、今住んでいる土地から離れて、果たして生活をしていけるのかという不安があるかと思います。そこで、今回は20~30代の京都市移住者3名にお集まりいただき、京都移住に対する想いや、京都市で働く魅力など、ざっくばらんに語っていただきました!
俵谷千尋(たわらや·ちひろ)
1985年埼玉県出身。大手出版社や大手IT企業で出版企画や広告制作、ゲストハウスで受付業務を経験したのち、2021年夏にWebライターとして独立&京都移住。プロダクトの魅力をアピールする記事や、英語系の記事が得意。趣味は音楽活動と海外放浪で、今まで行った国は現在27カ国。人生で100カ国達成するのが目標。
林 皓太(はやし·こうた)
京都府出身。大学卒業後に京都、大阪、東京で暮らしながらITベンチャー企業・スタートアップ企業に勤務する。2020年2月に京都へUターン移住。2022年8月に独立して、パートナーとうつわと雑貨のお店を立ち上げる。現在はスタートアップ企業で働きながら、うつわと雑貨のお店の代表を務めるパラレルワーカー。
岩見 佳奈(いわみ·かな)
奈良県生まれ、福岡育ち。新卒では大手人材会社に就職し、地元福岡で人材紹介の法人営業を経験する。その後、京都市に移住し、とあるIT企業の京都事業所でバックオフィス業務に従事。2022年4月より、京都のスタートアップ企業で採用広報をスタート。
俵谷:東京にあるIT系の会社で広告企画の仕事をしていました。2021年6月の移住と同じタイミングで会社を退職し、独立しました。
林:京都にUターンする前は、東京にあるWeb制作会社でディレクターをしていました。自身の生き方を見つめ直した結果、京都にUターンする選択肢が最適とわかり、京都のIT系のスタートアップに転職。その後、コミュニティ事業を展開するスタートアップ1社を経て、2022年2月にフリーランスとして独立しました。
岩見:大手人材会社の福岡支社で、2年ほど営業の仕事をしていました。京都に移住してすぐ、IT系スタートアップの京都事業所で、バックオフィス業務に従事。その後、現在の会社に転職しました。
俵谷:きっかけは夫が京都移住を強く望んでいたからですね。夫は東京出身でずっと東京で暮らしていて、京都に行くたびに「京都に住みたい」と話をしていて。私自身は、京都には数えるくらいしか旅行したことがなく、知り合いもいませんでした。だから、京都には特別思い入れはありませんでした。
結婚をする前後に、夫から「2年後に、京都への移住をしたい」という話をされて。最初は友達もいない、知らない土地へ移住することに不安がありましたが、今振り返れば夫についてきて良かったと思っています。
林:少し立ち止まって、これからの未来を考え直したいと思ったことが移住のきっかけです。東京でいくつかの会社で、さまざまな仕事を経験し、ゆっくり考える時間を作れる段階になったときに、改めて「どう生きていくのが良いのだろうか」と考えるようになりました。それまでは、朝から晩まで働く日々を過ごしていましたが、一度地元の京都に帰りたい想いが強くなりましたね。
岩見:私は最初の就職で福岡を出る予定でしたが、結果的に福岡支社に配属となり、2年ほどその会社で働いていました。しかし、3年目を迎えたときに、やはり福岡を出たいなと思って。1社目は大きな会社だったため、次は県外にあるスタートアップやベンチャーに絞って転職活動を始めました。
東京や大阪も検討しましたが、個人的に大都会は合わないと思って。ただ、私は車の運転ができないため、公共交通機関で生活できる地方都市を検討したところ、大学の友達も住んでいて、頻繁に旅行に来ていた京都に決まりました。
俵谷:京都は、人間関係がとても狭く濃い、語弊を恐れずにいえば、「閉鎖的で余所者を受け入れない」イメージがあって。フリーランスだから1人で動くとはいえ、すでにでき上がってるコミュニティに馴染めるか不安でした。
林:自分が希望する仕事を見つけられるか不安でした。IT系の仕事って、やはり東京に集中しているんですよね。あと、情報に関しても、東京よりも少ない印象なので、どう京都で仕事の基盤を作れば良いかイメージができていなかったですね。
岩見:そこまで大きな不安はなかったですが、「京都独特の言い回し」を理解できるか少し心配でしたね。仕事ではコミュニケーションが何より大切になると思うので。
俵谷:フリーランスでwebライターをしています。主に、食品やHR、アパレルなどのジャンルで、SEOライティングや取材ライティングを行っていますね。また、ライターとは別に、五条にあるシェアオフィスで受付の仕事もしています。
林:フリーランスとして、ITやWeb領域の仕事をしつつ、2022年8月にパートナーとともに立ち上げた、うつわと雑貨のお店の運営もしています。
岩見:2022年4月から、京都に本社をもつ、製造業向けのサービスを展開する会社で採用広報をしています。
俵谷:東京で働いてたときは、生活の余白がなかったんです。ものすごく残業してたわけではありませんが、仕事をして家に帰って寝るの繰り返しで……。映画や本といった趣味になかなか時間を割けていませんでした。
そういうこともあったので、京都に移住したら「生活に余白を作る」ことを大切にしようと思っていました。東京に住んでいた頃に比べると、かなり余白を持てています。京都は人混みも少なくて、鴨川などの自然も豊かで、街全体がゆったりしていることがそれを手助けしているのかなと思いますね。
林:移住して大切にしたことは2つあって、1つが必死に仕事し続けるのではなく、友人や家族と過ごす時間を大切にすること、もう1つが自分自身のキャリアについて考える余白をもつことです。
私も東京に住んでいた頃は、情報量が多く情報スピードも速くて、心や頭がぱんぱんな状態で、「どう生きていくか」よりも、得た情報をどう仕事に生かすかを考えるばかりで、余裕がなかったです。
もちろん仕事を妥協することはしませんが、余白がないと「自分がどういうことをしたいのか」ということを考える余裕は生まれませんし、目の前の仕事に追われてしまうと思うんですよね。
岩見:私もお2人と同じように、余白を大切にしていました。福岡にいたときは、何をしてても仕事を考えてしまう状況で、仕事が生活の中心になっていたというか。それこそ、ご飯の時間を短縮するためにコンビニで済ませたり、平日に向けて休みの日はひたすら寝ていたり……。
しかし、京都にはおいしい飲食店もたくさんあるし、仲良くしてくれる方々もいっぱいいるし、とことん週末を楽しめています。移住してから、「仕事を忘れて楽しむことが、こんなにも素晴らしいことなんだな」と、改めて気付くことができましたね。
俵谷:「閉鎖的なのでは」という不安を感じていましたが、まったく問題なかったですね。もっと早く移住すればよかったなと(笑)。いかに自分が先入観に囚われていたかがわかりましたね。東京のときはアパートやマンションに住んでいて、お隣りさんとは挨拶程度の関係性でした。今は貸家に住んでいて、町内会にも加入しています。近所の人と接点がある暮らしに変わったんですね。最初は馴染めるか不安でしたが、暮らし始めたら近所の方がご飯や野菜をお裾分けしてくれることもあって。人の温かみを感じて、すごく心地良いんです。
林:当初、京都で働くイメージが湧かず、漠然とした不安がありました。しかし、交流イベントやシェアオフィスなどに顔を出したことで、フリーランスの方や会社員の方など、さまざまな方とつながることができて、少しずつ京都で働くことに対するイメージがクリアになりました。
岩見:そもそも不安がなかったので、イメージ通りでしたね。「京都独特の言い回し」に苦慮するかなと思いましたが、むしろそういう場面に出会うと、「京都っぽい!」と逆にテンションが上がりました(笑)
俵谷:自然がそばにあるから、仕事に行き詰まったときに、すぐにリフレッシュできることですね。東京だと、自然のある場所が遠いから、行くだけで疲れてしまいます。
京都なら、街を歩くだけでも遠くに山の稜線を眺めることができますし、今住んでいる家から少し足を伸ばせば、鴨川や寺社仏閣もあります。
林:たしかに気分転換できる点は魅力の1つですよね。少し街を歩くだけでも楽しいし、素敵な飲食店も多くて、食べ物もおいしいです。食べ物や住環境など仕事以外の要素が、仕事のパフォーマンスを上げているなと感じます。
あと、京都の街はコンパクトだから人とつながりやすいですよね。イベントに顔を出せば知り合いに出くわすことも少なくありません。
私は、現在パートナーとお店を運営していることもあり、よりつながりの大切さを感じますね。イベントやSNS、お店などで知り合った人が応援してくれることも増えて、すごく勇気をもらっています。
岩見:私も、仕事の休憩中にリフレッシュができることが魅力だと思います。今勤めている会社が二条にあるのですが、お昼休みには二条城の周りをぶらっと散歩できて、とても贅沢な散歩コースだと思っています(笑)。